2023.04.11
DXに必要なDX人材とは?職種や必要なスキル、課題について解説
ビジネスのIT化、デジタル化が急速に進み、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に取り組む企業が増えてきました。しかしそのなかで、多くの企業がDX人材の確保に課題を抱えています。
企業のリソースである人材をどのように雇用、または育成していくべきでしょうか。ここでは、DX化実現に必要不可欠なDX人材を確保・育成するため、その役割や人材の持つべきスキル、求められる考え方などを解説していきます。
DX人材とは?
実際のところ、DX人材について明確なイメージがつきにくいと感じている人もいるのではないでしょうか。
DX人材に関する明確な定義はありませんが、経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」では、DXの実行のために必要な人材を次のように説明しています。
-DX 推進部門におけるデジタル技術やデータ活用に精通した人材
-各事業部門において、業務内容に精通しつつ、デジタルで何ができるかを理解し、DX の取組をリードする人材、その実行を担っていく人材
(デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン)
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx_guideline.pdf
ガイドラインのなかでは、ITシステムの導入で終わるのではなく、戦略立案・実践できる人材のマインドセットが必要だとしています。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公開した[デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査](https://www.ipa.go.jp/files/000082054.pdf)によると、「事業部門における人材」を調べ指標にしたところ、中小企業、小規模事業ともに低く、人材のプロファイルや数値目標など、戦略整備が整っていない、または後れている状況が考えられるとしています。
DXは、単なるIT投資ではありません。DX人材を採用・育成するにしても、外部委託を活用するにしても、人材への投資は必要です。そのための予算を組み込み、推進部門には必要な権限を与えることも求められるでしょう。
DX人材の6つの職種
それでは、DX人材とは具体的にどのような業種の人が活躍しているのでしょうか。企業のDXにおける課題や目標によって必要な人材も異なってきますが、ここでは、IPAが「DX推進に向けた企業とIT人材の実態調査」のなかで見いだした、デジタルビジネス推進企業が保持するDX人材のポジションやスキルについて説明していきます。
プロデューサー
プロデューサーは、経営者や管理職、またはプロジェクトリーダーなどで、DXやデジタルビジネスを主導する立場の人材を指します。経営に関わる人材で、意思決定や組織を統轄するスキルが求められます。
ビジネスデザイナー
プログラムマネージャー、情報システム/IT部門のリーダー、またはマーケティングリーダーなど、DXやデジタルビジネスを企画・立案し、プロデューサーと連携して推進に取り組む人材を指します。実現可能な計画を考える発想力や、経営層に分かりやすい説明をするコミュニケーションスキルも求められます。
UXデザイナー
UXとは「ユーザー体験」のことであり、UXデザイナーとはデジタルビジネスやそれに伴うシステムをユーザー視点でデザインする担当者です。ユーザーの利用や満足度を高める企画・デザインを行います。UXデザイナーのほかに、Webディレクターなども該当します。
データサイエンティスト/AIエンジニア
データサイエンティストやAIエンジニアは、DXに関する先進技術(AI、IoT、ICTなど)と、データ解析などの専門知識が求められる人材で、データを活用するという視点からDX化を推進していきます。
アーキテクト
アーキテクトは、DXやDXを活用したビジネスに関するシステムを設計する役割を持っています。企画・立案されたものを、システムとして活用するための要件を定義・設計し実践レベルに落とし込んでいきます。データサイエンティストやAIエンジニアのように、高度な専門知識を持つデジタル人材です。
エンジニア/プログラマ
エンジニアやプログラマは、設計されたデジタルシステムの実装、インフラの構築などを担う人材で、システムエンジニア、プログラマ、インフラエンジニアなどが該当します。DXは業務プロセスなども重視されるため、プログラミングスキルのほかにもさまざまな業種の業務に関する知見などが求められることがあります。
DX人材に必要なスキル
DX人材は、基本的にIT人材と言われる業種が多くなりますが、ITの専門知識はもちろんのこと、リーダーシップやコミュニケーションなど、ソフトスキルも多く求められます。特にプロデューサー、ビジネスデザイナーなどは、経営戦略にも関わるため専門技術以外にもプロジェクトマネジメントスキルが重要になってきます。
DXを導入した新しいビジネスモデルを作り上げるには、これまでの企業文化や社内の体制が大きく変革を迎えます。その流れに従業員全員が対応する大きなプロジェクトになるため、社内の整備・統括が行える高いマネジメントスキルが求められるのです。
DX人材に求められる意識
DX人材は知識・スキル、そしてDXを実現するための思考パターンが求められ、それをマインドセットすることが重要です。例えば次のような考え方があげられます。
1,事象や顧客の潜在的なニーズから仮説を設定する
2.仮説をもとに実行する
3.結果をもとに仮説を検証する
4.新たな仮説やアイデアを生み出す
5.アイデアをもとに試作、テストを行う
これらのプロセスを確立することで、失敗や軌道修正を繰り返しながら、課題発見と解決力を醸成していく仕組みができるようになります。
DX人材に関する課題とは?
DX人材は、新たなものを生み出す「発想力」、DXを推進するための「企画力」、実現するための「提案力」なども、DX人材に求められる要素と言えるでしょう。
このような人材は、エンジニアやデータサイエンティストのように、必ずしもITスキルを持った専門家である必要はありません。DXに深い理解と興味を示し、意欲がある人材であれば、営業担当者やマーケター、プロジェクト開発などに携わる人材でもよいのです。
重要なのは、DX推進のために企業が必要とする人材を明らかにし、才能を持つ人材を見極め、育てていくことです。今後も予想されている人材不足という課題に取り組むためには、人的リソースへ目を向け投資を行い、継続してDX人材を増やしていくことが大切です。
DX人材の採用・育成方法
DX推進部門を立ち上げるためには、ITに関する知識を備えている従業員ばかりではないため、まずは社外から専門家を外部委託する形が一般的になります。特に中小企業には人材にも制限があり、内製化できる範囲は限られてくるからです。
専門性の高いUXデザイナー、データサイエンティスト、プログラマなどの確保・育成は困難ではありませんが、最も重要なのは社内のプロデューサーやビジネスデザイナーの育成です。
これらのポジションは、経営幹部やリーダーとして企業のリソースや文化をよく理解している人材であり、意思決定や社内を統括するために欠かせない存在です。チームを作り研修などを活用しながら、中長期的な視点でDXを推進できる人材を育てていきましょう。
まとめ
IPAの調査レポートのなかでは、DX人材の適正因子として発想力や対応力のほかにも、人を巻き込む力、失敗したときの姿勢、モチベーションなども重視するポイントにあげています。
DXはデータやデジタルを活用し、変革を起こすことですが、そのための人材を社内で教育していくことがこれから求められるようになるでしょう。
そのためには信頼のおけるITパートナーを見つけ、必要な人材やDXの取り組みについて相談しながら、二人三脚で構築していくことが重要です。
(画像は写真ACより)
この記事を書いた人
KJ@DXコラム編集長
エンジニア出身で現在は現在は営業窓口全般を担当しています。 お客様とのファーストタッチのタイミングからスピーディーに技術的な原因とその対応を行います。 DXの取組に興味を持たれたお客様と一緒になってゴールまで走り抜ける経験を2025年まで培っていきたいと思っています。 このコラムで2025年までの軌跡をお客様と作っていければと思っております
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