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  3. 社内要綱の問い合わせ対応をAIで効率化~teamsに拡張検索チャットボット導入~

社内事務要綱は業務の根幹を支える重要な文書ですが、社員からの問い合わせ対応には多くの時間と労力がかかってしまいます。
そこで、Copilot Studioによるナレッジ活用を通じて、「この申請はどの手順で行う?」などの質問に、teamsから社員が自分で正確な情報にアクセスできる仕組みを構築しました。

目次

社内事務要綱のナレッジ化プロセス

PDFの分割(項目ごと・ページごと)

まず、社内要綱のPDFをAIが理解しやすい形に変換するため、文書を「項目ごと」または「ページごと」に分割しました。これにより、AIがより細かく文書の構造を把握し、質問に対して的確な回答を返せるようになりました。

社内要綱が記載された全体PDFと分割PDFは、用途に応じて使い分けています。

  • 全体PDF:文脈把握や全体構造の理解に使用
  • 分割PDF:検索精度向上と参照元提示に使用

SharePointへの格納とCopilot Studioへのナレッジ登録

これらのPDFをSharePointに格納して、Copilot Studioにナレッジとして登録することで、AIが文書を検索・参照できるようになり、社員がteamsを通して質問できる体制が整いました。

回答精度の向上と工夫

ページ単位での分割による検索精度の向上

当初は、社内事務要綱の全体PDFのみを読み込ませていたため、質問に対して余分な項目が含まれた回答を行っていたり、無関係な項目を回答することがありました。

そこで、PDFを細かく分割することで、検索精度が向上し、AIが質問に対して該当ページをピンポイントで提示できるようになりました。Copilot Studioは、回答と同時に情報源も表示するため、内容に不安を持った場合は、表示されたページ項目にアクセスをして、確認することでミスの防止にもつながります。

Teams連携を前提としたナレッジ共有の最適化

Copilot Studioに社内事務要綱をナレッジとして登録する際、情報がユーザーにも共有される必要があることが分かりました。

当初は、PDFファイルをOneDriveに保存し、個別にアクセス権限を設定する方法を検討していました。しかし、社員数が多い場合、この方法では共有設定に手間がかかり、運用が煩雑になるという課題がありました。

そこで、Teamsでの利用を前提に、既に活用されている「ファイル」タブに社内事務要綱のPDFをアップロードする方法に切り替えました。このファイルをそのままCopilot Studioにナレッジとして登録することで、アクセス権の設定や共有作業を簡略化でき、社員全員が自然な流れで情報にアクセスできるようになりました。

この方法は、Teamsの既存の仕組みを活かしながら、AIナレッジの活用を促進するという点で非常に効果的です。

ナレッジに存在しない質問への対応

AIがナレッジに存在しない情報に対しても、あたかも存在するかのように回答してしまうケースがありました。たとえば、実際には存在しない手続きを生成して回答しまうことがあり、誤解を招く恐れがあります。

  • 理想的な回答

「データに存在しないため、確認をお願いします」

  • 現状の課題

AIが存在しない手続きや部署名を生成してしまうケースがある

  • 対策

ナレッジ外の質問には固定メッセージで対応する設計に変更しました。

質問文の工夫

AIの回答精度は、質問文の書き方によっても大きく左右されます。たとえば、「○○申請は何のツールでどのように行えばいいですか?」や「△△手続きの必要書類は?」といった、具体的かつ構造化された質問は、AIが意図を正確に理解しやすく、正確な回答につながります。

逆に、曖昧な表現や文脈が不足している質問では、AIが誤った解釈をしてしまう可能性があります。そのため、社員には質問文の工夫を促し、AIとの対話の質を高める必要があります。

例:利用するツールを聞いた場合と聞かなかった場合

まとめ

今回の取り組みにより、社内ナレッジのAI化を通じて、問い合わせ対応の効率化を実現することができました。

今後は、今回の仕組みをさらに生かし、現状の解答に加えて追加で学習がおこなえるかを模索します。

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