2023.04.11
中小企業でDX化が進まないのはなぜ?課題や解消法をご紹介
政府のDX推進により、企業はDX化への対応を求められるようになりました。DXに関心を持ち取り組む企業は年々増加の傾向にある一方で、未だに取り組んでない企業もあり、特に中小企業に対応の後れが見られています。
ではなぜ、DX化が進まないのでしょうか。この記事では、中小企業におけるDX推進の現状と課題を明らかにしながら、DX化への課題解決や戦略のポイント、DXに向け始めやすいツールなどを紹介していきます。
DXとは何か
まず、DXとは何か改めて本質を理解しておきましょう。経済産業省の「DX推進ガイドライン」によると、データとデジタル技術を活用して、変化の激しいビジネス環境に対応する企業文化やビジネスモデルの変革、製品やサービスを創造し、グローバル市場での優位性を確立することとしています。
つまり、アナログからデジタルへの移行に留まらない、日本の経済を活性化させる大きなビジネス変革を起こす手段としてDXを推進しているのです。
中小企業におけるDX推進の現状
では、DX推進を行っている企業がどのくらいか、現状を見ていきましょう。
中小企業がDXを進めている割合
一般社団法人日本能率協会の「日本企業の経営課題 2021」調査によると、DXに取り組んでいる企業は全体の45.3%、大企業では65.6%、中堅企業では45.0%ありますが、中小企業は27.7%と3割を下回っています。
中小企業がDXで求めていること
調査のなかでは、DXの取り組みで企業が重視しているのは「商品・サービス・事業の付加価値向上」が91.4%で、これは中小企業にも当てはまると言えます。商品やサービスのPRは、POPやチラシからWeb、SNSなどデジタル映像を使うことで顧客の目にとまりやすくなり、売上の向上や販売促進につながっています。
実際に、取り組みの成果が出ていると回答した企業は大企業・中小企業ともに4割、中堅企業は5割を超えています。
DXに関心がある経営者が増えてきた
売上向上や販売促進の効果から、DXに関心を寄せる経営者も増加の傾向にあります。DXによる効果は売上だけでなく、営業・マーケティング、社内業務プロセスの効率化、人材マネジメントなどへの効果も期待されています。
特に人手不足や労働時間などの問題を解決するという観点からも、DXを検討している経営者は少なくないでしょう。
中小企業にある課題と解消法
DXの成果を評価する企業が4割以上と高いにも関わらず、依然として中小企業のDXへの取り組みは後れをとっています。中小企業がDX推進に当たり直面している課題を見ていきましょう。
DX化がなかなか進まない
中小企業の経営者や役員、社員に苦手意識があるとDXが進まないという問題があります。DXに取り組むにはどうしたらよいか分からない、既存システムや企業文化の変化を受け入れられない、そもそもDXへの理解がないなどが考えられます。
このケースでは、経営層・社員の両方とも意識改革を行っていくことがポイントです。まずはデジタルを取り入れることから始めましょう。
DX戦略ができていない
DXが進まない問題には、DXに対する明確なビジョンを持っていないことが考えられます。経営層などの理解不足や、そもそもDXの必要性を感じていないことが多くあります。
このケースでは、DXの必要性を理解し、戦略を立てる必要があります。ビジョンを考えるのは経営者と役員の役割です。DXにより、何を実現したいのかを明確にしていくことから始めましょう。
社内の把握が十分でない
DXと聞くと最新技術の導入やIT人材、システム全体を変えなくてはいけないというイメージを持ち、DXの取り組みに投資できないと考える経営者もいます。
始めに、社内のシステムや業務フロー、売上などさまざまな観点から現状を把握し、何をすると働きやすくなるのか、どのようなことをすれば売上につながるのかなど、課題を解決できる要素を分析していきます。
そこから低予算で導入できるツールを活用するなど、段階を踏みながら少しずつ改革していくことが大切です。
中小企業でDXを進めるメリット
ではなぜDXが求められているのでしょうか。ビジネスを変革することは簡単ではありませんが、DXによりさまざまなメリットが考えられます。
業務の効率が上がる
DXによるメリットには「業務効率の向上」があげられます。データを電子化することにより、作業を自動化・短縮化することが可能になり、業務フロー全体の効率化や残業時間やコストの削減、生産性の向上などにつながります。
業務の自動化・効率化により従業員はコア業務に集中しやすくなり、モチベーションの向上、働きやすい職場づくりにも貢献します。
顧客からの信頼が上がる
DXは、顧客管理にも活用できます。デジタル化することで顧客の基本情報、購買履歴、問い合わせ記録などをすべてデータとして管理し、ビッグデータなども活用・分析することで、顧客のニーズを掴みやすくなります。
それをもとに商品やサービスの提案を行ったり、手厚いサポートを提供したりすることができれば、顧客の信頼を上げることができるでしょう。
BCPを拡張できる
デジタルを活用することで、BCP対策の活用・拡充が実現できます。BCP(Business Continuity Plan)とは「事業継続計画」のことで、自然災害やテロ、システム障害などが発生しても、企業資産を守り事業の継続あるいは早期復旧を可能にする対策のことです。機密情報や個人情報保存、従業員の安否確認手段などにDXが有効です。
DXに向けて始めやすいツール
いきなり全体のシステムを変えることは、資金繰りが困難になり業務も混乱を招く可能性があります。DXツールのなかには、無料または低額で始められるものもあるので、小さな改革から始めてみましょう。DX推進に役立つものをいくつかあげていきます。
チャットツール
ビジネスコミュニケーションツールには「Chatwork」や「Slack」などがあります。近年はテレワークも増えているため、迅速なコミュニケーションと情報共有には欠かせない存在となりつつあります。
オンライン会議
オンライン会議ツールで代表的なのは「Zoom」や「Googlemeet」です。場所を選ばず、移動せずに行えるため会議だけでなく面談、商談、セミナーなど幅広く活用されています。
クラウド勤怠・給与計算
勤怠管理、給与計算・請求書管理、人事・労務管理などのバックオフィス業務を自動化・効率化・クラウド管理するツールです。「freee」「SmartHR」などは管理業務をシリーズで提供しており、少額から始められるものも多くあります。
データ管理
データ管理には、文書ファイルや画像などの編集・保存・共有などができる「Google Drive」や「Dropbox」があります。情報の整理がしやすく、さまざまな端末から安全に管理できるのもポイントです。
業務に適切なもの、従業員が使いやすいものを選びましょう。
まとめ
経済産業省の「未来人材ビジョン」によると、日本の国際競争力は30年で1位から31位に落ちたと報告しています。これからのデジタル競争に負けないためにも、企業の固定観念を見直し、ビジネス変革を推進していくことが求められます。
DXを始めるには、専門知識によるサポートも必要です。信頼のおけるITパートナーを見つけ、相談しながら進めていきましょう。
(画像は写真ACより)
https://www.photo-ac.com/main/detail/24432495?title=%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%A9%E3%81%AE%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B8&searchId=79203220
https://www.photo-ac.com/main/detail/24724867?title=%E3%83%91%E3%82%BD%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%81%A8%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95&searchId=2094323919
https://www.photo-ac.com/main/detail/24070098?title=%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%AE%E7%B5%84%E3%81%BF%E5%90%88%E3%82%8F%E3%81%9B%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B8&searchId=2094323919
この記事を書いた人
KJ@DXコラム編集長
エンジニア出身で現在は現在は営業窓口全般を担当しています。 お客様とのファーストタッチのタイミングからスピーディーに技術的な原因とその対応を行います。 DXの取組に興味を持たれたお客様と一緒になってゴールまで走り抜ける経験を2025年まで培っていきたいと思っています。 このコラムで2025年までの軌跡をお客様と作っていければと思っております
関連記事
2022.12.20
多くの企業でDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた取り組み、あるいは検討が始まっています。一方で、何から着手す…