1. HOME
  2. ビジネスブログ
  3. ローコードでここまでできる、Power Appsの高度な活用方法とは?

エンジニア不足が深刻な課題となる中で、非エンジニアでもアプリケーションを開発できるローコードツールは内製化を目指す企業にとって有効な手段となります。比較的手軽に利用できるローコードツールとして、Microsoft社が提供するPower Appsが挙げられます。Power Appsを用いれば、簡単な業務効率化アプリの開発はもちろん、企業の基幹業務を担うような高度なアプリケーションの開発も不可能ではありません。

この記事では、Power Appsの高度な利用方法というテーマで具体的な活用ケースをご紹介します。

Power Appsとは

Power Appsとは、Microsoft社が提供するローコードツールです。ローコードツールとは、エンジニアでなくても画面上からアプリケーションを開発できるツールのことを指します。ローコードツールでは、ボタンやテキストボックスなどの部品を選択して画面に配置し、また各ボタンを押したときにどのような動作をするかを設定していきます。これらの設定はツールの画面を操作することで行えますので、アプリケーションの作成にあたってプログラミングは不要、もしくは最小限で済みます。

なお、Microsoft社ではエンジニアでなくてもアプリケーションを開発できる、いわゆるローコードツール群を「Power Platform」として定義しており、Power AppsもPower Platformに含まれるツールの一つです。Power Platformには、Power Apps以外にも定型的な作業を自動化する「Power Automate」やデータを集計してグラフや表などで可視化できる「Power BI」などのサービスが存在します。

関連記事:RPAの基礎知識、Power AutomateDesktopで始める自動化

関連記事:経営指標がぱっと分かる Power BIの利用方法とダッシュボード化の流れ

自社業務の多くはPower Appsでカバーできる

「ローコードツールであるPower Appsでは高度な開発は難しい」というイメージを多い方も多いのではないでしょうか。実際に、Power Appsは簡単な業務効率化アプリなどの構築に用いられるケースが多いといえます。

しかしながら、Power Appsを用いることで自社業務の中核となるような様々な領域をカバーできるアプリケーションを開発することも可能です。特に小規模の企業においては、コスト面を踏まえてもPower Appsによる内製化は有効な選択肢となるでしょう。

関連記事:業務の内製化とは?メリットやデメリット、成功のポイントを紹介

以下では、Power Appsで自社の基幹となるシステムを構築した具体的な事例をいくつか取り上げ、ご紹介いたします。

Power Appsの高度な活用方法①:Power AppsとAIによる鉄道の軌道保守システム

ある鉄道会社では、鉄道の軌道保守システムをPower Appsにより構築しました。鉄道の安全な運航のためには軌道の維持管理が必須ですが、従来は作業員の方が目視で軌道の状態を判断していました。

同社では、この点検業務をPower Appsを用いたアプリケーションにより自動化。軌道をカメラで撮影した画像をPower Appsで構築したアプリケーションからクラウドへアップロードし、クラウド側でAIにより分析。分析結果をPower Apps上で確認できる仕組みを構築しました。

本アプリケーションの開発は、プロフェッショナルの支援を受けながら非エンジニアである職員の方が実施しました。本事例はローコードツールであるPower Appsにより高度な処理を内製化できた取り組みの一つといえるでしょう。

参考:Microsoft社

Power Appsの高度な活用方法②:予算管理システムの構築

ある自治体では、バックオフィスのDXにおいてPower Platformを活用しています。旅費管理システムや予算執行システムなど、予算関連のシステムをPower Appsで構築。同自治体ではローコードツールを活用した内製化を進めており、各システムはアジャイル型で開発を行いました。

当初、本プロジェクトのメンバーは外部ベンダーのサポートを受けながらPower Appsにより開発を進めていましたが、Power Apps の使い勝手の良さやアジャイル開発のスピード感などに後押しされ、短期間で大幅なスキルアップに成功。3画面を2日で開発できるようになるなど効率的な内製開発を実現できています。

現在では、複雑な流れとなっている予算執行業務について、時間をかけて開発を進めています。試作アプリケーションなどを作成しつつ、最終的には内製化で開発を実現したいとのことです。

参考:Microsoft社

Power Appsの高度な活用方法③:統合後の新システム基盤としてPower Appsを採用

ある協同組合では、これまで拠点別に構築されていたシステムの刷新を目指す中で、新統合システムとしてPower Appsを基盤として採用しました。Power Appsで加入者の方がアクセスするポータルサイトを構築しつつ、バックエンドでは加入者の情報参照や購入履歴データの管理、認証基盤の構築などを実現しています。従来は拠点ごとに加入者の登録を行っていましたが、ポータル化したことにより作業やデータ管理が一元化され、業務も効率化できました。また、加入者の方の購入履歴管理も実現し、過去に購入した商品が古くなったタイミングでマーケティングを行うなどの取り組みも可能となりました。

この協同組合では、パートナーとなるベンダーのサポートも受けながらPower Appsの活用を進めてきました。今後、ECや電子マネーなど、Power Appsの基盤を活用した幅広いサービスを展開していきたいとのことです。

参考:Microsoft社

まとめ

この記事では、Power Appsの高度な活用方法について、事例を含めてご紹介しました。いずれの事例においても共有するのが「立ち上げ時点では外部ベンダーのサポートが必要」であるという点です。Power Appsは確かに分かりやすく使い勝手の良いツールではありますが、これまでアプリケーションの開発を一切やったことがない方にとってはハードルが高いものといえます。外部ベンダーの支援を受け、一定のスキルを身に付けたのち、内製化を進めていくという進め方を検討すべきでしょう。

エンジニア不足が叫ばれる昨今において、非エンジニアの方でも利用できるPower Appsは有効なツールとなります。外部ベンダーの力も借りながら、内製化を進めてみてはいかがでしょうか。

この記事をシェアする

この記事を書いた人

KJ@DXコラム編集長

KJ@DXコラム編集長

エンジニア出身で現在は現在は営業窓口全般を担当しています。 お客様とのファーストタッチのタイミングからスピーディーに技術的な原因とその対応を行います。 DXの取組に興味を持たれたお客様と一緒になってゴールまで走り抜ける経験を2025年まで培っていきたいと思っています。 このコラムで2025年までの軌跡をお客様と作っていければと思っております

関連記事

2022.12.22

エンジニア内製化のメリットとデメリット。進める際のポイントとは?

ビジネスでIT化が進められるようになってから、日本では多くがITエンジニアをSIerやフリーランス、システムのベンダーか…

2023.05.29

具体的な成果や効果が見えにくいDX推進、指標はどう立てるべきか?

DX推進にあたって「具体的な成果や効果が見えにくい」という課題をあげている企業が少なくありません。なぜ成果や効果が見えに…