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  3. データドリブン経営を中小企業で導入する意義、ポイントを解説

企業にはさまざまなデータが蓄積されています。勘や経営に頼りがちな経営からデータを軸とした経営に変革することを「データドリブン経営」といいます。中小企業におけるデータドリブン経営の意義から、扱うデータの種類、メリットや課題を踏まえた進め方などを解説します。

データドリブン経営、中小企業における意義とは?

データドリブン経営のドリブン(driven)は「駆動」の意味です。直訳では「データを駆動させた」という意味になりますが、転じて「データに基づいた経営、データを活用した経営」を指します。

データドリブン経営には、膨大なビッグデータを扱う大企業のイメージがあるかもしれません。しかし、中小企業においても意義があります。

2つの視点から中小企業におけるデータドリブン経営の意義を解説します。

「勘と経験」から「データ」主導へ

中小企業では、経営者の個性や職人の仕事が自社の強みになっていることがあります。しかし、専門性の高い人材に依存すると勘や経験が頼りがちになり、属人性に陥ることが少なくありません。世代交代や優秀な人材の離職によって業務のクオリティが下がり、事業継承が困難になりがちです。

こうした課題を解決する方法のひとつが、データドリブン経営です。さまざまな効率化がありますが、データに基づいた管理手法に移行することで属人性の回避をねらいます。

製造業の工場では、熟練工の技術が求められますが、長年勤めた熟練工が高齢になって退職すると事業継承が困難です。そこで、たとえば機械の保守点検作業において、異常な振動や熱の変化をIoTのセンサーで測定および分析、熟練工が耳や勘で判断していた点検をデジタル化します。事業継承の課題を解決するとともに、作業負荷の軽減になります。

経営管理レベルのDXを推進

製造業の工場におけるデータ活用の例を上げましたが、データドリブン経営は、経営管理のDXを推進する考え方です。特定の業種や事業規模に関わらず、さまざまな現場においてデジタルによる改革が成果を上げているかどうか数値的な把握ができることに意義があります。

一般的に中小企業のDXといえば、業務レベルにおけるクラウドの利用やテレワークの実施が検討されやすいのではないでしょうか。

もちろん生産性向上のために、現場レベルのデジタル化は重要です。データドリブン経営は、このような現場のクラウド利用状況の把握、テレワークにおける従業員の問題点の発見、脱Excelによってどこまで生産性向上を達成したかなど、中小企業全体のDXを経営管理レベルで管理するためにあります。

企業が活用できるデータにはどのようなものがあるか

企業は日々の事業活動から膨大なデータを生み出しています。企業が生み出すデータには売上や給与計算の情報のほか、営業やマーケティング、生産、販売、流通など多岐に渡ります。しかし、意外に活用されずにデータベースに蓄積されたままの状態が多いものです。

企業に蓄積されているデータを把握することが、データドリブン経営の第一歩です。データの種類によっては、利活用が簡単なものと難しいものがあり、組み合わせによって価値が生まれる場合もあります。

さまざまな観点からデータを分類してみましょう。

構造化による3つのデータ

企業の情報は、主としてデータベースに格納して蓄積されます。データベースの格納から考えると、データは以下の3つに分かれます。

  • 構造化データ
  • 半構造化データ
  • 非構造化データ

構造化データは、ExcelのファイルやCSVなど、そのままデータベース格納して利用できるデータです。半構造化データは、XMLやJSONなどの形式を指します。非構造化データはマルチメディアの情報であり、音声、写真、動画などが含まれます。

データドリブン経営において活用しやすいデータは、Excelをはじめとした構造化データです。ただし、音声をテキストデータに変換したり、動画からテロップの文字起こしをしたり、AIによるデータ変換の精度が向上しています。非構造化データの活用も視野に入ることが大切です。

構成要素による3つの分類

次に、総務省『平成29年版 情報通信白書』に基づく分類です。構成要素からデータを次の3つに分類しています。

  • オープンデータ
  • 産業データ
  • パーソナルデータ

オープンデータは国や地方公共団体が公開しているデータです。産業データは、財務会計などの情報のほか、M2M (Machine to Machine)といった産業機械間の通信による情報も含まれます。パーソナルデータは、顧客の属性などの個人情報のほか購買履歴があり、従業員の情報も含めて管理が必要です。

データ活用の視点からみると、オープンデータと企業内のマーケティングデータを組み合わせることで、データに新たな付加価値を追加できます。たとえば天気情報とPOS情報などを組み合わせることにより、天気による需要予測が可能になります。

データドリブン経営のメリット

消費行動が多様化し、さまざまな要因が複雑に絡み合う現在、経営戦略を立てるために必要な需要予測が非常に困難になりました。また、複雑化した業務は従業員のストレスを増大させ、効率化や生産性向上を阻む新たな課題が浮上しています。

こうした課題に対応するには、経営者の揺るぎないリーダーシップが重要です。さらに勘や経験が通用しない局面に対しては、データドリブン経営による科学的な管理手法を活用するとよいでしょう。

データドリブン経営によってもたらされる4つのメリットを解説します。

意思決定のスピードアップ

リアルタイムで情報を把握して迅速な意思決定を可能にすることが、データドリブン経営の第一のメリットです。経営の意思決定に必要な情報をExcelで加工やグラフ化していると時間がかかり、ビジネスチャンスを逃すことになりかねません。BI(ビジネスインテリジェンス)のダッシュボードで多角的な情報をリアルタイムかつ直感的に把握し、意思決定をスピードアップできます。

業務効率化と生産性向上

データドリブン経営は、業務のボトルネックになっている問題を発見して効率化に役立ちます。シミュレーションによって効果を予測しやすく、現状と改善後のタスク処理の時間を測定して数値で把握可能です。効率化によって生み出した時間は、より戦略的な業務や新しい創造的な仕事に活用できます。

ビジネスの最適化

販売管理や物流管理において人間では困難な需要予測の精度を向上させ、データをもとに費用対コストの最適化を実現します。稼働状況の低いプロセスを放置しておくと、コストを生じさせ続けます。特定の処理で生じたロスタイムが全体に大きな悪影響をもたらすこともあります。問題になっている箇所を発見して、最適化することが必要です。

新規ビジネスの創出

データの可視化によりビジネスチャンスを発見する先取的なメリットもあります。顧客データを使って深く顧客を理解し、新規ビジネスの創出に役立ちます。たとえば購買データを横断的に分析して、異なった顧客層に共通の新しい商品ブランドを作るようなケースです。データドリブン経営は業務効率化だけではなく、マーケティングの目的を果たす上でも意義があります。

データドリブン経営で生じがちな課題

データドリブン経営がうまく機能しない課題としては、主に次の3つがあります。

  • データ整備の課題
  • 人材および組織の課題
  • 経営者の課題

データ整備の課題は、企業の各部門が別々のフォーマットでデータを管理している状況です。一元管理されていることが理想ですが、データが統一されていないと分析のために加工が必要になり、新たな業務を増やしてしまうことになります。

人材および組織の課題は「誰がデータを整備して管理するのか?」という課題です。情報システム部門と経営管理部門のどちらが主導すべきか、プロジェクト推進のリーダーシップの問題もあります。いわゆるサイロ化として部門間に壁があり、協力体制ができていないと、データ連携どころかデータ収集の段階でつまずいてしまうことも少なくありません。

経営者の課題は、ストレートに言ってしまえば経営者の意識の低さが要因です。あるいは勘や経験を重視してITに対する理解が少ない場合、データドリブン経営は難しいといえるでしょう。

中小企業におけるデータドリブン経営の進め方とポイント

中小企業がデータドリブンを進めるときには、自社では何をすべきか方向性を定めることが重要です。進め方としては、スモールスタートをおすすめします。あらゆるデータ活用を一度に進めようとすると失敗します。簡単に着手できて効果が高い領域を見極めることが必要です。

3つのステップで進め方とポイントを整理します。

STEP-1:データの把握と方向性の確認

一気にデータドリブン経営にシフトするのではなく、まず「どのようなデータが社内に蓄積されているか」現状の把握することから始めることがポイントです。音声や画像のような非構造化データは活用が難しいため、ExcelやCSVなどの構造化データの利活用から始めます。

STEP-2:データの分析・可視化・方針の決定

収集したデータを分析して可視化します。業務プロセスを測定してダッシュボードで可視化するツールとしてBPM(ビジネスプロセスマネジメント)というツールもあります。自社の規模やリソースに合わせてツールを活用するとよいでしょう。分析した結果から経営の方針を決めます。数値指標にしたがって、期間を区切って効果を測定します。

分析にあたっては、データアナリスト、データサイエンティストのような専門家に任せると第三者の視点による課題の発見ができます。外部のコンサルティング会社にアウトソーシングする選択肢もあります。

ポイントは、分析に時間をかけすぎないことです。

STEP-3:データ利活用

PDCAサイクルの考え方に基づいて、継続的に目標の設定と実施および改善を繰り返します。ただし、データの収集や分析自体が目的化することに注意すべきです。データドリブン経営の目的は、意思決定の迅速化、業務効率化、生産性向上、新規ビジネスの創出であることを既に述べましたが、その観点から成果があったかどうかを評価します。

まとめ

AIのビジネス活用が急速に進展する中で、これまでとは違ったレベルのDX拡大が予測されます。変化に対応するために、中小企業ではトップレベルの意識改革が重要です。そのひとつのきっかけとして、データドリブン経営を取り上げました。勘や経験によるビジネスからデータを駆使した経営に変える必要があります。データの利活用でお困りのことがあれば、ユーネットにご相談ください。

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この記事を書いた人

KJ@DXコラム編集長

KJ@DXコラム編集長

エンジニア出身で現在は現在は営業窓口全般を担当しています。 お客様とのファーストタッチのタイミングからスピーディーに技術的な原因とその対応を行います。 DXの取組に興味を持たれたお客様と一緒になってゴールまで走り抜ける経験を2025年まで培っていきたいと思っています。 このコラムで2025年までの軌跡をお客様と作っていければと思っております

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