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  3. 【2023年最新情報】IT導入補助金とは?注意すべきこと、3つの枠についても解説

IT導入補助金は、DXを積極的に活用する企業に対してプロジェクトの成果を審査した上で交付される補助金です。通常枠(A・B類型)、セキュリティ対策推進枠、デジタル化基盤導入枠があり、自社の取り組みに合わせて選択できます。ここでは、IT導入補助金の概要を解説するとともに、2023年度の変更点についても触れます。

中小企業のDX、資金の問題を解決するには?

独立行政法人 中小企業基盤整備機構の令和4年の調査によると、中小企業がDXを推進する際の課題として、企業の22.1パーセントが「予算の確保が難しい」と挙げています。

参考:「中小企業の DX 推進に関する調査(PDF)」独立行政法人 中小企業基盤整備機構

DXを推進するには、ある程度、設備の初期投資が必要になります。ところが、具体的な効果や成果が見えないDXは、設備投資がリスクとして考えられがちです。このようなリスクのために、DX推進に踏み込めない企業も多いのではないでしょうか。

DXに関する資金面の負荷を軽減する選択肢のひとつとして、補助金や助成金の活用があります。補助金や助成金は、融資と違って返済不要です。特に補助金の種類によっては数百万円の交付が受けられるメリットがあります。 さらに補助金を活用することによって、企業の信頼を高められます。補助金は、申請時の計画通りに進めて審査を通す遂行能力が求められるからです。補助金の交付を受けたことは、優良企業の証としてアピールできます。

補助金と助成金との違い

DX推進の資金面の課題を解決する方法として補助金と助成金を挙げましたが、それぞれの違いを説明します

まず、管轄が異なります。補助金は、主として経済産業省の管轄です。国や自治体の政策目標に合わせた取り組みに対して事業をサポートします。一方で助成金の管轄は、主として厚生労働省になります。厚生労働省であることから、労働環境や雇用環境の安定を目的として支援しています。

次に制度の内容として、対象となる種類、受け取る金額、申請期間の違いがあります。補助金には、さまざまな種類があり交付額も大きく、自社の状況に合わせて選択可能です。ただし、申請期間が決まっているため、期間外の申込みができません。一方、助成金はおよそ20種類があり、交付される金額は補助金よりも小規模ですが、補助金とは異なり要件に該当すれば受け取ることができます。

補助金や助成金は審査が必要、利用する際の注意点

補助金や助成金にはデメリットもあります。補助金や助成金は基本的に後払いであり、審査によって交付されることが大きな注意点です。

したがって「すぐに資金を調達したい」という困窮した状況の解決にはなりません。審査結果によっては交付を受けられない場合があり、その点から融資とは大きく異なります。キャッシュフローに問題がある経営状態で、補助金の利用を考えるときは検討が必要です。

補助金の申請にあたっては、事業計画書といった書類の提出が求められます。申請書類の作成に費やした時間が無駄になってしまう場合も想定しておかなければなりません。

DX推進のために活用したいIT導入補助金

DX推進のために利用したい補助金に「IT導入補助金」があります。積極的にDXに取り組んでいる企業が、さらなるDX推進のチャレンジに利用するとよいでしょう。SaaSのようなクラウド上のアプリケーションの利用料も対象になります。

IT導入補助金は、2017年にスタートし、2023年で6回目を迎えました。中小企業、小規模事業者や個人事業者を対象として、生産性の向上や業務プロセスの効率化のためにITツールを導入する際、経費の一部をサポートする制度です。

補助の対象となるITツールは、IT導入事業者から提供されます。IT導入事業者は、プロジェクトを推進するパートナーです。ツールの提供はもちろん、導入と運用の相談や各種申請などの手続きも行います。

IT導入事業者には2つの形態があり、ひとつは単独の企業、もうひとつは幹事社および構成員の複数の組織で構成されるコンソーシアムです。いずれも要件を満たして、審査の結果を認められた登録事業者がサポートします。

IT導入補助金の3つの枠

IT導入補助金には、以下のような3つの枠が設定されています。

  • 通常枠(A・B類型)
  • セキュリティ対策推進枠
  • デジタル化基盤導入枠

基幹系のデジタル化を強化したい場合はデジタル化基盤導入枠が最適、リモートワークによる端末のセキュリティ対策を強化したい場合はセキュリティ対策推進枠といったように、自社の状況に合わせて検討するとよいでしょう。

交付状況をみると、2022年度(2023年2月7日まで)の申請総数は3枠合わせておよそ6万件。申請と交付数からみると、通常枠は50%以上、デジタル化基盤導入枠はおよそ83%、セキュリティ採択推進枠は97%以上の決定率でした。

参考:「2023年度「IT導入補助金」先読みガイド 変更点と審査落ちを回避するポイント」

ここからは3つの枠の概要を解説します。

通常枠(A・B類型)

通常枠は、中小企業や個人事業主がIT導入のために幅広く使える補助金です。補助対象は、ソフトウェア購入費や関連費用が中心になり、クラウド利用料は最大2年分が交付されます。

A類型とB類型がありますが、根本的な違いはサポートする費用です。いずれも補助率は費用の2分の1以内であり、交付の金額は以下になります。

  • A類型:5万~150万円未満
  • B類型:150万~450万円以下

より多くの補助金交付対象となるB類型では、複雑なプロセスのデジタル化において従業員の賃上げ達成が前提となります。当然のことながら、困難かつ大規模な設備投資が必要になる課題に取り組むほど、より多くの補助金が交付されるわけです。

具体的には、業務工程などのプロセス数がA類型では1以上に対して、B類型では4以上。賃上げ目標は、A類型では加点対象であるのに対して、B類型では必須となっています。

セキュリティ対策推進枠

テレワークなど勤務形態の変化により、セキュリティの重要性が高まりました。IT導入補助機のセキュリティ対策推進枠では、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスに対して、最大2年分のサービス利用料を支援します。補助率は2分の1であり、補助額は5万円~100万円です。

提供されるセキュリティツールには、リモートによる端末の監視(EDR、Endpoint Detection and Response)などがあります。AIとセキュリティのスペシャリストによるインシデント対策や保険も対象です。

お助け隊サービスの基準を明確化するために、2023年4月にサービス基準を改定して公表予定です。詳細は以下でご確認ください。

参考:「サイバーセキュリティお助け隊サービス制度」独立行政法人 情報処理推進機構

デジタル化基盤導入枠

2023年10月からインボイス制度がスタートします。インボイス制度への対応を含めた業務基盤のIT強化したい補助金制度がデジタル化基盤導入枠です。

会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトに補助対象を特化するとともに、PCやタブレットなどハードウェアも補助の対象に含まれます。クラウドで提供されるソフトウェア利用料の最大2年分の費用も対象です。

デジタル基盤導入枠は、以下の2つに分かれます。

  • デジタル基盤導入類型
  • 複数社連携IT導入類型

デジタル基盤導入類型では、要件に適したソフトウェアやハードウェアの基盤導入経費を補助金に定めています。

複数社連携IT導入類型では、複数の中小企業や小規模事業者が連携してDXを推進する場合を想定した補助金制度で、システム導入費用に加えてコンサルタントによる分析経費や事務経費なども対象となります。

こんな用途にも使える、IT導入補助金の活用方法

IT導入補助金の活用例をひとつ挙げます。情報システムの開発では、現在、ローコード、ノーコード開発が注目を集めています。高度なプログラミングの知識を必要とせずに、GUI(Graphical User Interface)を使って視覚的および直感的に開発できることがローコード、ノーコード開発の特長です。ローコードは最小限のプログラミング、ノーコードの場合はすべてGUIでアプリケーションを開発します。

マイクロソフト社のローコードツール「PowerApps」などがIT導入補助金の対象になっています。IT導入事業社とともに検討してみてはいかがでしょうか。

2023年、IT導入補助金の変更点とスケジュール

2022年からの変更点としては、通常枠A類で補助額の下限を30万円から5万円に引き下げられ、A類とB類ともにクラウドの利用料金が1年分から2年分に延長されました。また、デジタル化基盤導入枠では下限の5万円が撤廃されました。

全体的に、投資のハードルが下がった印象です。投資額が小規模の場合にも補助金を受けられるようになり、さらにクラウドの利用拡大を踏まえた内容になりました。

補助金は申請に締め切りがあります。詳細は以下のリンク先をご確認ください。

参考:IT導入補助金2023サイト(スケジュール)

IT導入補助金の流れ、事務局からの通知に注意

IT補助金の全体の流れは以下のようになります。

1)IT導入補助金の理解

2)IT導入支援事業者およびITツールの決定

3)交付申請

4)ITツールの導入

5)ツールの活用

6)事業実績報告

7)補助金交付手続き

8)事業実施効果報告

注意すべきポイントとしては、事務局からの連絡を待たずにIT導入事業者とITツールの契約を進めてしまうと、補助金の交付が受けられなくなります。3)の交付申請を行った後、事務局から交付決定の通知を確認して、IT導入支援事業者に発注および支払いなどを行う4)に進むことが重要です。詳細については、以下を参考にしてください。

参考:IT導入補助金2023サイト(申請・手続きフロー)

まとめ

IT導入補助金は、既にDXに取り組んでいる中小企業が、さらなる目標達成のためにパートナーと組んでチャレンジするときに活用するとよいでしょう。交付額が大きいだけでなく、DXに対する自社の取り組みをアピールできます。セキュリティや基幹系に特化した補助金もあり、自社の課題に合わせて検討することをおすすめします。

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この記事を書いた人

KJ@DXコラム編集長

KJ@DXコラム編集長

エンジニア出身で現在は現在は営業窓口全般を担当しています。 お客様とのファーストタッチのタイミングからスピーディーに技術的な原因とその対応を行います。 DXの取組に興味を持たれたお客様と一緒になってゴールまで走り抜ける経験を2025年まで培っていきたいと思っています。 このコラムで2025年までの軌跡をお客様と作っていければと思っております

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